心療内科とは
精神科と心療内科の違いについてたびたび質問を受けます。精神科の主な対象は、認知の異常(妄想・幻覚・もの忘れなど)、感情の異常(強い憂うつ感や高揚感の持続・長引く不安や緊張・イライラ)、行動の異常(様々な依存状態・反復する暴力行為や性犯罪・過食や拒食・不登校など)です。
対する心療内科の本質は身体的症状の発生や持続に心理的影響が強いと判断される病態を診療することです。20年ほど前から身体症状に心因が深く関与している場合が少なくないことが重要視され始め、「心療内科」という標榜科が認められたのです。「さまざまな医療機関を訪れても、原因が判らず、症状改善もない」と苦しんでいる方は多いと感じています。こうした方は日常生活で心理的ストレスを受けている場合があり、こうした方は心理面は、最初から心理面を重要視して診察する心療内科受診が適していると考えます。
心理的ストレスの大部分は周囲との人間関係にあり、そこに力を入れて心療内科医は患者さんと話し合います。当然、身体面だけではなく、ストレスは心理面に直接的な悪影響も与えますので、診療は心的領域にも及びます。
治療手段は、傷んだ心を修復する薬剤処方とストレスを受け流せる心の持ち方を、一緒に考える時間です。
職場の人間関係が辛く、出勤前に腹痛や吐き気が起こる、苦手な上司が心に浮かんできて眠れない、義理の母の声を聞くだけで動悸がする、夫との関係がうまくいかず悩み体が重くなってきて家事ができない、保護者会での会議が近づくと憂うつと不安の毎日が続く・・・などの心身両面での苦痛を抱えている方、どうぞ当院をお尋ねください。
当院は初診・再診ともに予約する必要はありません。
心の不調に伴う具体的な症状
ところで、心の不調の具体的な訴えはどんなものが多いのでしょうか?
それは、気力低下・集中力低下・不安感・鬱的気分・焦燥感・イライラ・妄想気分・自信低下などです。こうした症状の極端な例は、パニック障害・ヒステリー発作・摂食障害です。
一方、心の不調が主として症状に表れることもあります(頭痛・腰背部痛・悪心嘔吐・呼吸困難・発熱・下痢・味覚異常・外陰部痛など)。
こんな中、最初から心身両面を意識して診察を開始すべきであると、認識を新たにする医師が増えたのも当然の流れといえましょう。こうした現実を考慮して、平成8年に医師法で<心療内科>という診療科が認められたのです。
当院では、摂食障害、対人関係療法の日本における第一人者である水島広子医師に顧問として協力をいただき、心身の不調に苦しむ方々のオアシスになりたい、と日々努力を重ねています。