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「夏の憂い」 2013.08.12

 夏の真っ只中に、内科医でもある俳人・高橋馬相(1907〜46)の句が心に沈殿しています。「なりわいも憂し」を前書きとする“秋暑く道に落とせる聴診器”です。俳人は、内科医の魂とも言える聴診器を道端に落としてしまうほどに憂愁で充たされているのです。往診先での感慨なのでしょうが、原因は患家の容態だけではなく、戦争へと突き進んでいた世相に関連していると思えてなりません。税・年金・医療・介護の将来が私には悲観的にしか考えられず、馬相氏と同じく憂いの中で診療をしています。
 身体の痛みへと話を変えましょう。日常診療で汎用される薬剤の1つに非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAID)があります。1889年、バイエル社からのアスピリンがさきがけです。作用機序はCOXという酵素を阻害してプロスタグランジンの産生を抑え、疼痛閾値(痛みの許容範囲)を高めること、とされます。鎮痛作用の他に、抗炎症と解熱作用もあります。
 適応症は、腰部・関節・頸腕部など運動器の疼痛、歯痛、結石痛、月経痛、
咽頭痛、頭痛などです。血中半減期は1〜50時間と差があり、症例によって使い分けます。気になる副作用ですが、めまい・眠気・むくみ・嘔気・胃痛・下痢の他、稀に起こる@アスピリン喘息に代表される過敏症 A消化管粘膜損傷による、潰瘍・胃腸出血 B肝細胞障害 C出血傾向 D腎障害 、などです。副作用を減じるべく様々な研究が進められてきて、プロドラッグ・徐放剤・坐薬・経皮吸収薬・貼付剤などが製品化されています。代表的な薬剤は、カロナール・ロキソニン・バファリンといったところです。 

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