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次世代へ思い深める 2013.04.16

 本とCDの予期せぬ収穫を目的に、4ヶ月ぶりに上京しました。1時間ほど本を選び、ある会館で1200円の鮨を食べていますと、隣席に坐る若い男女が結婚式の日取りについて相談しているようです。微笑ましい光景に、こちらまで温かくなってきます。古書街を回った後、渋谷目指して神保町から地下鉄に乗りました。少し離れた横に、60歳前後と見える女性が坐っていて、“水天宮”と墨書されたお札を両手でしっかりと捧げもっています。“安産”で有名な水天宮は、この地下鉄線上にあるのです。
結婚、そして安産のお札と続いた偶然のせいで、<自分が10年前まで分娩に携わっていたこと>を久しぶりに意識し直しました。期待通りに分娩が進まず、ヤキモキしながら仮眠する夜の多さ。大学病院勤務の頃、緊急帝王切開のため麻酔医と手術場看護師に協力を求める際の意地悪な対応に泣かされたこと。出産直後、子宮からの大量出血に肝を冷やしたこと。苦しんだ経験の方がより鮮やかに浮かびます。しかし、分娩に従事した医師として最も印象深く残っているのが、お産を終えた妊婦の幸福と安堵に満たされた横顔です。それは、私の心身疲労を一気に吹き飛ばしてくれるものでした。
激しい雑踏と騒音が襲いくる渋谷。本来なら避けたい場所ですが、日本一の在庫を誇るCD店の魅力に吸い寄せられてしまいます。今回も掘り出し物を見つけました。疲れを癒そうと飛び込んだクレープ店。ブルターニュ地方の伝統につながる味だそうです。そして、隣席の男女は、またしても、結婚の打ち合わせ!結婚の祝福と安産の祈り・・・次世代への思いが深まりました。 

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