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「佐伯留守夫作品に音楽を聞く」 2013.03.26

 佐伯留守夫氏(宇都宮市出身、昭和61年没)の彫刻作品群を鑑賞する機会に恵まれました。特に印象に残ったのが『聖徳太子像』と『更生』(昭和22年)です。前者における透徹した眼差しは、東大寺戒壇院・広目天像に匹敵する鋭さをもっています。後者は古代エジプト彫刻を範とした、若き女性が少年を従えた立像です。編みこまれた髪は肩まで垂れ、薄衣の下には乳房と下腹部の膨らみが確かな存在感を主張します。真っ直ぐ前方に向かう瞳は、生まれ変わった新世界を見つめている!
その前に長い間たたずんでいると、音楽が胸中に湧き上がってきました。初めに浮かんだのが、昭和28年度の東大学生『足音を高めよ』です。戦争から脱し、新たな日本への夢と希望を抱いていたであろう人々の息吹きがひしひしと伝わってくる素晴らしい歌です。
次いで荘重な音楽が全身を包みました。エジプトの復活思想に誘発されたのかマーラーの“復活”交響曲第5楽章です。かの時空では、現世で正義を貫いた者は死後、オシリスの国で復活し永世を得ると信じられていました。特徴的なのは、現世の肉体そのままの復活を考えていたことで、現世の消滅と神の国の顕現を前提とする聖書での復活とは異なります。マーラーの人間像などからみて、彼の思い描く復活はエジプトのそれに近いと私が感じていたため、マーラー音楽が現れたのでしょう。
現世だけの命では空しいと考えるようになった私は、東大救急医学教授・矢作直樹氏の『人は死なない』を愛読しています。豊富な救急臨床症例と、霊能者を介した亡母との会話などを根拠に、「死後も精神活動は続く」と説く書です。

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